2020年4月28日(火)放送の「世界仰天ニュース」は、「冤罪はなぜ起きたか」が放送されました。
この記事では、2020年4月28日(火)放送の「世界仰天ニュース」の「冤罪はなぜ起きたか」の内容ネタバレと感想について、お伝えいたします。
「世界仰天ニュース」の冤罪はなぜ起きたかの放送内容一覧
【出演者】
MC / 中居正広、笑福亭鶴瓶
アシスタント / 久野静香
【ゲスト】
・山﨑賢人
・松岡茉優
・光浦靖子(オアシズ)
・ミキ
・正木裕美弁護士
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「世界仰天ニュース」の冤罪はなぜ起きたかの内容ネタバレ
今年、3月31日。
世界中がコロナウイルスに揺れる中、一人の女性が勝ち取った無罪判決。
逮捕から実に15年余り。
無実の女性が殺人犯になった恐ろしい事件の再現をする。
刑事に恋をした女性の悲劇
2003年、滋賀県の病院。
ナースセンター向かいの病室に植物状態の重篤な患者がいた。
実は、定期的にタン吸引をしなければ命の危険があった。
5月22日。明け方4時30分ごろ。
看護師と看護助手の西山美香が見回りに。
そして、ナースセンター向かいのあの病室で、先ほどの入院患者に異変が。
なんと、脈がなく、心臓が止まっていたのだ。
実は呼吸器はタンなどの異物がつまったり、正常に作動していないと大きなアラーム音が鳴るのだが、アラームは聞こえなかったという。
そして、看護師は医師に咄嗟に嘘をついてしまった。
「呼吸器が外れてました」と。
実は医師からは2時間おきにタンを吸引するよう言われていた。
しかし、彼女たちの通例として、アラームが鳴ってから対処しても大丈夫という認識だっ
たようで、この夜も2時間おきのタン吸引は行っていなかった。
そのことで動転したのか!?
とっさにあのような報告をしてしまったのだ。
その看護師は、タンの吸引を怠った追求を恐れたと思われる。
そして、心停止を発見してから約3時間後、男性の死亡が確認された。
呼吸器の外れ。
その後、地元警察が捜査に乗り出した。
病院側は死亡後すぐ呼吸器を調査したが、異常は見られなかったという。
故障でなければアラームは鳴るはず。
翌日、司法解剖が行われた。
解剖医によると、遺体には死因となるような疾病は見られなかったという。
その結果、鑑定書には「人工呼吸停止、管の外れ等により酸素の供給欠乏が起きたことが原因と判断される」と書かれた。
実はこの解剖医、呼吸器の外れを事前に刑事から聞かされていたのだった。
これで看護師が居眠りなどでアラームを聞き逃した業務上過失致死の疑いが強くなった。
事件当日に見回りをしていた看護師はもちろん、医療行為を行えない看護助手の西山美香も隠蔽に関わっているかもしれないと厳しい取り調べを受けた。
事件当夜。
病棟には、西山美香や看護師のほか仮眠室で休憩していた別の看護師もいたが、誰もアラーム音は聞いていない。
捜査は暗礁に乗り上げたと思われた・・・
その1年後。
滋賀県警は、県警本部捜査一課の刑事2人をこの捜査の担当にした。
2人の刑事は西山美香の実家を訪ねた。
そして、任意での取り調べが始まった。
激しい口調で問い詰められると、恐怖で「アラームを聞いた」と言ってしまった美香。
その証言から看護師にも詰め寄る刑事。
しかし、看護師は刑事の厳しい取り調べでも「アラームは鳴っていない」と言った。
ここから、美香に対する刑事の態度が大きく変わっていく。
これまで厳しい態度を一変し、2日に1回ほどのペースで呼び出し、世間話を繰り返した。
その数、2ヶ月で23回。
一方、この時点で調書が作成されたのは、わずか3回。
そして、美香は徐々に、この刑事に心を開いていく。
1979年12月。
3番目の子として生まれた西山美香。
彼女はのちに発達障害、軽度の知的障害ありと診断される。
一方、美香の兄2人は勉強がよくできたため、いつも劣等感を背負って生きてきた。
友人も少なかった。
そして、両親にかまってもらいたいがために小さな嘘をつくことも。
刑事はそんな美香の話を何時間も親身になって聞いた。
そして・・・
美香「お兄ちゃんは頭いいから親に気に入られるんやけど、私はできひん」
つい口にした自身のコンプレックス。
刑事は・・・
刑事「俺は美香さんも頭いいと思うで。ちゃんと勉強すればできるんちゃうかな」
初めて男性にかけられた優しい言葉。
美香はその刑事に恋心を抱いてしまった。
それからというもの、呼び出されていないにも関わらず刑事に逢いたいがために、警察署を訪ねることも。
そんな時、病院の関係者からあの看護師の状況を聞く。
厳しい取り調べを受けてノイローゼになってしまったのだという。
美香はその看護師が好きだった。
そんな人が、自分が言ってしまった「アラームを聞いた」という嘘の証言で苦しんでいる。
美香は、看護師にメールで連絡をとった。
すると、「私はもう誰とも話ができる状態ではない」というメールが返ってきた。
彼女は、午前2時に警察署を訪ね、担当刑事宛てに「呼吸器のアラームは鳴っていなかった」という内容の手紙を提出した。
しかし、この出来事を境にこれまで優しく対応してくれた刑事は態度を急変させた。
刑事さんに嫌われた。しかも、このままでは大好きな看護師も救えないと思った美香はとんでもないことを言い出す。
自分が「呼吸器のチューブを外した」と言ったのだ。
この自白で、業務上過失致死事件が殺人事件に変わった。
そして2004年7月6日。
美香は殺人容疑で逮捕された。
無実なのに自白した看護助手
取り調べで、刑事からの誘導質問に美香は、仕事への待遇の不満をいい、これがのちに犯行動機にされてしまう。
一方、美香が自分で呼吸器のチューブを外したとしてもぬぐい切れない疑問が・・・
それはアラーム。
チューブを外したなら絶対に鳴るアラーム音を誰も聞いていない。
警察はその辻褄あわせを始めた。
呼吸器の点検技師に詳しく聞くと、消音ボタンでアラームを消せることを突き止めた。
しかし、それでは1分後にはまた鳴ってしまう。
ずっと鳴らないようにするには消音ボタンを押した後に1分数えて、鳴る直前に再び消音
ボタンを押すしかないという。
だが、こんな方法は現場で使うこともないし、誰も知らない不自然な手段だった。
呼吸器に触れることすらもない看護助手の美香。
しかし、警察が考えたストーリーはこうだったと思われる。
呼吸器を外した美香は、すぐに消音ボタンを押し、1分をその場で数え60秒になる前に消音ボタンを押してアラームを鳴らなくする。
これを計3回繰り返し、3分間酸素供給を止め、死亡を確認した後チューブをつなぎ犯行の痕跡を消すという極めて複雑な方法で殺害した。とされた。
一方の両親は、美香の逮捕後すぐに弁護士に依頼。
弁護士は逮捕の2日後から接見を開始した。
美香は正直に話してほしいという弁護士に「本当はやっていない」と話した。
警察に流されて嘘の証言をしていることに気付いた弁護士は、取り調べで誘導されても本当のこと以外は黙っておくように告げた。
後日、警察の取り調べで弁護士の指示通り何もしゃべらない美香。
何かを察した刑事は、再び脅迫まがいな取り調べを始めた。
すると、美香が恋した刑事から再び優しい言葉で「弁護士ではなく、自分たちを信じてほしい」と伝えた。
接見禁止が出されたため家族と会うこともできず、弁護士と刑事のどちらを信じればいいかわからなかった。
その結果、美香が信じたのは刑事のほうだった。
そして、警察が考えたストーリーにそった供述書が作られた。
自分がこの先どうなるのか分からなかった彼女は、最後の取り調べで、刑事に抱きつき「寂しい」と言った。
警察主導の供述調書にサインをしてしまった美香。
刑事を心から信じていた。
2004年7月28日。
起訴後、接見禁止が解け、両親とおよそ1か月ぶりに再会。
美香は、両親に刑事とのやりとりを話した。
ようやくあの刑事の呪縛が解けるはずだった。
しかし、美香はまだその刑事を信じていた。
両親はその刑事に騙されてるんじゃないか!?と言い、ようやく美香は気づき始める。
その後、彼女は裁判に向け殺していないと否認する意志を固めていった。
しかし、第一回公判の3日前。
あの刑事が美香の前に現れた。
この刑事は余罪を調べるためやってきた。
本来、取り調べた刑事が起訴後に会いに来るのは異例のこと。
美香が否認するかどうかの探りだったと思われる。
美香が裁判で否認をするつもりであることを伝えると、刑事はなんと、「そんなことをしたら罪が重くなるやん」と言った。
そして自分の言うことを紙に書くようにと告げた。
その内容は「もし罪状認否で否認しても、それは本当の私の気持ちではありません」というものだった。
この時点でも、刑事に嫌われたくない美香は、その通りに書いてしまった。
そして、2004年9月24日。
第一回公判。
動揺した彼女は裁判で否認できなかった。
数日後、死のうと拘置所に落ちていた針金を飲んだ。
しかし死に切れず、第二回公判でようやく否認。
それ以来、一貫して無罪を主張し続けたが・・・
2005年11月29日。
大津地方裁判所は、任意の取り調べにもかかわらず自白した事実から自発性が高いと判断。
殺人罪で懲役12年の実刑判決を言い渡し、のちに確定した。
両親は、美香が人を殺すとはどうしても思えなかった。
そこで裁判のやり直しを求めて、弁護士を訪ね、2人だけで署名活動も行った。
12年にも及ぶ服役中、両親に届き続けた美香からの350通にも及んだ手紙には、“殺していない”と無実の主張が書かれていた。
だから、両親は周りの人に何を言われても信じ続けた。
しかし、一度結審した裁判をやり直すことは真犯人や確実な証拠がない限り極めて難しい。
流れが変わったのは2012年の春。
1度目の再審請求を担当した弁護士が病に倒れたため、両親は別の弁護士に2回目の再審請求を依頼。
それが、井戸謙一弁護士だった。
井戸は、2006年に日本で初めて原発差し止めを言い渡した元裁判官という弁護士。
依頼を受けた井戸はこれまでの資料をかき集め、目を通した。
そしてその資料を読めば読むほど疑問が湧いたという。
最も不思議だったのは、解剖鑑定書。
実は、美香が逮捕される前、看護師は取り調べで、「呼吸器のチューブが外れていたか本当は分かりません」と証言を覆していた。
さらに、人は3分の酸素供給停止では心臓は止まらないことが分かった。
この情報を受け、男性の死因に疑問を抱いた弁護士の井戸は専門医に男性の解剖鑑定書を見せた。
すると、致死性不整脈の可能性が高いことが分かったのだ。
死因は不整脈。つまり病死。
まさに決定的な証拠だった。
弁護団は新たな証拠をもって再審を請求。
裁判のやり直しを待った。
そんな中、2017年8月24日。
美香は12年の刑を終え出所した。
逮捕時、25歳だった彼女は、37歳になっていた。
そして先月31日に、大津地裁で「自然死の可能性が高い」と無罪判決が言い渡され、のちに確定された。
捜査段階の自白も、「警察による不当な誘導が伺える」と捜査手続きに問題があったと厳しく指摘した。
判決文を読み上げた後、裁判長は、異例の言及をした。
「警察、検察、弁護士、裁判官を含め、全ての関係者が他人事ではなく、刑事司法の改善に結びつけ、西山さんの15年を決して無駄にしてはならない」
そして、彼女にこう語りかけたという。
「15年あまり、辛い思いをされてきたと思います。これから普通の女性として過ごしていってください」と。
美香さんは、何を今語るのか?
無実のまま12年間服役した、西山美香さん。
自分のことよりも、自分が嘘の自白をしたせいで両親を苦しめた事を後悔しているという。
逮捕から15年余りの間、殺人犯の親という汚名を着せられ続けた両親は、「一度逮捕されたら、誰からも信じてもらえない」と語った。
家族が失った15年以上の歳月。
取り戻すには、あまりにも長い。
番組では、今回の判決を受けて滋賀県警にコメントを求めた。
「無罪判決については、真摯に受け止め、今後の捜査に生かしてまいります」との回答だった。
再審請求を行った井戸弁護士によると、これまでには冤罪でも供述弱者が巻き込まれたケースはたくさんあるのだという。
今回の事件でも美香さんは虚偽自白を作るために利用された、だからこそ取り調べは弁護士立ち合いで行われるべきと主張している。
「世界仰天ニュース」の冤罪はなぜ起きたかの感想
今回の世界仰天ニュースは、先月31日に無罪判決が出たばかりの「人工呼吸器殺人」についてでした。取り調べ室という異質な空間で、不安と恐怖の中、刑事から優しくされると相手に好意を持ってしまうことは心理学的にもあるそうで、今回のケースもそうだったんだろうなと思いました。
美香さん自身は、好きになってしまった刑事に嫌われたくないことで自白してしまったことで自分の責任だと受け入れている言葉が印象的でした。